こんにちは、新宮地域の青木です。
罠の見回りにきたお宅の庭先で、おばあちゃんがコンニャク作りをしていたので、見学させてもらいました。
コンニャクが出来上がるざっくりした仕組みとしては、コンニャク芋に含まれるコンニャクマンナンという多糖類(イメージでいうと食物繊維)に水とアルカリ性の液体類(水酸化カルシウムや精製ソーダなど)と熱を加え、規則正しく並んでいる多糖類の分子の配列を崩し、その分子のスキ間に水分子が入ることによって固形になり、(糊化という現象)、コンニャクが出来上がります。ちなみに豆腐を作るときに使う『ニガリ』の成分は塩化マグネシウムや粗製海水塩化マグネシウムで、豆腐のたんぱく質とアルカリ成分を反応させることで塊にします。
茹でて皮を剥いたコンニャク芋をミキサーで砕いて水とよく混ぜながら、おばあちゃん曰く『アク』(ニガリみたいなイメージ)を入れてさらによく混ぜます。固まってきたら、手できれいに丸めて掬い取り、大きな鍋で茹でていきます。一つずつコンニャクを手に取って丸くする際に、出っ張りや凹みなどの形をこまめに修正するのがきれいなコンニャクを作るコツだそうです。
このコンニャクを固める『アク』ですが、なんとおばあちゃんがソバや小豆の殻などの灰を水で溶いて何度も布でろ過し、透明な液体にしたものを使っていました。一般的に手造りコンニャクを作る場合、水酸化カルシウム、精製ソーダなど、アルカリ性の食品添加物を使うので、これを手作りしていたことに驚きました。こうした市販されている添加物よりも手作りのアクでコンニャクを作る方がまろやかな味で風味が濃く、おいしく仕上がるとのお話で、理由としては生成されたものよりも植物灰の中には風味のもとにある有機物が多く含まれるからかなと思いました。試しに灰からできたその液体(アク)を舐めてみたところ、まろやかながら苦みのある、ニガリとよく似た独特の味がしました。
ちなみにアクを作る灰の原材料はソバが一番で、小豆の灰でも大丈夫とのこと。
作るときは殻や豆の鞘ごと灰にし、その灰を水に溶いて何度も布で漉し、透明な液体になったら完成だそうです。木の灰で作る人もいるそうですが、何でアクを作ったかでずいぶん味や保存性が違うそうです。2㎏のコンニャク芋から、約20㎏のコンニャクが出来上がるそうです。
『ほとんど水だね』とおばあちゃんは笑っていましたが、山で作るこんにゃくはショウガ醤油でお刺身で食べるととてもおいしいです。
昔ながらの知恵を目の当たりにした日でした(^^)/